学研全訳古語辞典 |
くら・す 【暗す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
(悲しみなどで心を)暗くする。悲しみに沈ませる。
出典源氏物語 総角
「かき曇り日影も見えぬ奥山に心をくらすころにもあるかな」
[訳] あたり一面曇って日の光も見えない山奥にこもって、悲しみのために心を暗くしているこのごろであるなあ。
②
(涙で目を)曇らせる。
出典蜻蛉日記 上
「『この御袈裟(けさ)』など書きはじむるより、涙にくらされて」
[訳] 「この御袈裟」などと(手紙を)書き始めるとすぐに、涙で目を曇らされて。
くら・す 【暮らす】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
日が暮れるまで時を過ごす。昼間を過ごす。
出典万葉集 八一八
「春さればまづ咲く宿の梅の花独り見つつや春日(はるひ)くらさむ」
[訳] 春になると最初に咲くわが家の梅の花を、ひとりで見ながら長い春の日を暮れるまで過ごすのであろうか。[反対語] 明かす。
②
(年月・季節などを)過ごす。月日をおくる。生活する。
出典源氏物語 竹河
「花を見て春はくらしつ」
[訳] 桜の花を見て春は過ごした。
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
〔動詞の連用形に付いて〕一日じゅう…する。…して一日を過ごす。
出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
「そなたに向きてなむ、念じくらし給(たま)ひける」
[訳] そちら(=内裏(だいり)の方)を向いて、心の中で祈って一日を過ごしなさった。
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