学研全訳古語辞典 |
このまより…
分類和歌
「木の間より漏(も)りくる月の影見れば心づくしの秋は来にけり」
出典古今集 秋上・よみ人知らず
[訳] 枝の間から漏れてくる月の光を見ると、物思いに心を痛める秋が来たのだなあ。
鑑賞
初秋の季節感を詠んだ歌。月を見て何となく悲しみを感じるのは、当時の人々の一般的な感性であった。木の間を漏れてくる月の光に、しみじみともの悲しい秋の到来を感じ取り、深まる秋の情緒にまさるとも劣らない悲哀感を見いだしている。「影」は光のこと。「心づくしの秋」という句は、後代広く人々に好まれた表現である。
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