学研全訳古語辞典 |
しか
《接続》動詞の連用形、完了の助動詞「つ」「ぬ」の連用形「て」「に」に付く。〔自己の願望〕…たいものだ。…たいなあ。
出典万葉集 二三六六
「まそ鏡(=枕詞(まくらことば))見しかと思ふ妹(いも)も逢(あ)はぬかも」
[訳] (姿を)見たいなあと思う恋人に会わないかなあ。
参考
過去の助動詞「き」の連体形「し」に終助詞「か」の付いたものか。過去の助動詞「き」の古い未然形(一説に已然形)「しか」が変化したものという説もある。中古以降、「しが」と濁音化し、主に和歌で用いられた。⇒「てしか」「にしが」「てしが」「にしがな」
し-か
分類連語
…か。…か、いや…でない。▽疑問・反語の意を強める。
出典古今集 恋二
「なかなかに何しか人を思ひそめけむ」
[訳] なまじっかどうしてあの人を思いはじめたのであろうか。
なりたち
副助詞「し」+係助詞「か」
しか
過去の助動詞「き」の已然形。
しか 【然】
①
そう。そのとおり。そのように。▽先に述べた事柄をさす。
出典大鏡 道長上
「それをさへ分かたせ給(たま)へば、しかおはしましあへるに」
[訳] それ(=出て行く道)までも別々にしなさるので、そのように(=花山天皇のご命令のとおり)どなたも一緒にお出かけになったが。
②
そのとおり。そう。▽相手の言うことを肯定して相づちを打つ意を表し、感動詞的に用いる。
出典源氏物語 末摘花
「『内裏(うち)よりか』とのたまへば、『しか。まかで侍(はべ)るままなり』」
[訳] 「宮中からか」とおっしゃると、「そのとおり。(宮中を)退出しましてそのまま(こちらへ参上したの)です」。
しか 【鹿】
動物の名。雌を「めか」というのに対して、雄をさす場合が多い。[季語] 秋。
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