学研全訳古語辞典 |
しん-だい 【身代】
①
財産。身上(しんしよう)。
出典好色五人女 浮世・西鶴
「いらぬ所に油火をともすも構はず、しんだい薄くなりて」
[訳] 不必要なところに火をともすのも構わず、財産が少なくなって。
②
暮らし向き。生計。
出典元のもくあ 仮名
「しんだい思はしからぬと聞きつるに」
[訳] 暮らし向きが思わしくないと聞いていたので。
③
身分。地位。また、特に、俸禄(ほうろく)・財産などを持つ身分。
出典腹立てず 狂言
「愚僧もそのやうなしんだいの者ぢゃ」
[訳] 私もそんな身分の者じゃ。
しん-だい 【進退】
①
進むことと退くこと。また、進めることと退けること。進退(しんたい)。
出典太平記 一
「しんだい歩みを失うて、頭(かうべ)をめぐらすところに」
[訳] 進退の方向がわからなくなって見まわしたところに。
②
一挙一動。立ち居振る舞い。
出典方丈記
「しんだい安からず、起居(たちゐ)につけて恐れをののくさま、たとへば、雀(すずめ)の鷹(たか)の巣に近づけるがごとし」
[訳] 一挙一動が心配で、立ち居につけて恐れおののいているようすは、たとえば、雀が鷹の巣に近づいたようなものだ。
(人・物・土地などを)思いのままに扱うこと。また、思いのまま扱えるもの。
出典枕草子 正月に寺にこもりたるは
「屛風(びやうぶ)の高きを、いとよくしんだいして」
[訳] 屛風の高いのを、とてもうまく思いのままに扱って。
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