学研全訳古語辞典 |
すか・す 【賺す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
だます。だまして誘う。
出典徒然草 一二九
「幼(いと)きなき子をすかし、おどし」
[訳] 幼い子をだましたり、おどしたり。
②
おだてる。
出典源氏物語 帚木
「『さてさてをかしかりける女かな』と、すかい給(たま)ふを」
[訳] 「いやまったくおもしろい女だな」とおだてなさって。◇「すかい」はイ音便。
③
なだめる。なぐさめる。
出典源氏物語 早蕨
「さまざまに語らひ給ふ御様のをかしきにすかされ奉りて」
[訳] いろいろにお話しなさるごようすがおもしろいのでなだめられ申し上げて。
すか・す 【透かす】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
すきまを作る。減らす。
出典枕草子 宮の五節いださせ給ふに
「五節(ごせち)の局(つぼね)を、日も暮れぬほどに皆こぼちすかして」
[訳] 五節の舞姫の控え室を、日も暮れないうちにみな取りこわしすきまを作って。
②
透けて見えるようにする。
出典枕草子 小白河といふ所は
「二藍(ふたあゐ)の指貫(さしぬき)・直衣(なほし)・浅葱(あさぎ)のかたびらどもぞすかし給(たま)へる」
[訳] 「二藍」色の指貫、直衣、「浅葱」色のかたびらなどを透けて見えるようにしなさっている。
③
油断する。
出典西鶴織留 浮世・西鶴
「万事にひとつもすかさぬ人の言へり」
[訳] すべてにわたって一つも油断しない人が言っている。
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