学研全訳古語辞典 |
すま・す 【清ます・澄ます】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
洗い清める。洗う。
出典源氏物語 若菜下
「女君は、暑くむつかしとて御ぐしすまして、すこしさはやかにもてなし給(たま)へり」
[訳] 紫の上は暑くうっとうしいというのでお髪を洗って、少しさっぱりしたようすでお迎えになる。
②
清らかにする。澄ます。
出典源氏物語 夕霧
「今すこし思ひしづめ、心すましてこそともかうも」
[訳] もう少し気持ちを落ち着かせ、心を澄まして、(出家の事も)なんとでも(決めるのがよい)。
③
〔「目をすます」「耳をすます」の形で〕目をみはる。聞き耳をたてる。
出典古今著聞集 一六
「舟をとどめて、不思議のことかなと、目をすまして見ゐたる所に」
[訳] (山僧たちは)舟をとめて、不思議な事だと、目をみはって見ていたところに。
④
世をしずめる。平定する。
出典平家物語 一二・土佐房被斬
「一天をしづめ、四海をすます」
[訳] (義経(よしつね)は)全天下をしずめ、国内を平定する。
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
〔動詞の連用形に付いて〕
①
精神を集中して…する。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「呼びわづらひて、笛いとをかしく吹きすまして、過ぎぬなり」
[訳] (車の主は)呼びあぐねて、笛をたいそう見事に一心に吹いて、通り過ぎて行ってしまうようだ。
②
うまく…する。完全に…する。…おおせる。
出典平家物語 九・生ずきの沙汰
「さしも御秘蔵(ひさう)候ふいけずきをぬすみすまいて」
[訳] あれほどにご秘蔵になっていられましたいけずき(=愛馬の名)を盗みおおせて。◇「すまい」はイ音便。
すま・す 【済ます】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
(借金などを)返済する。返す。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「目安付けられし預かり銀(がね)のかたへはすまさずして」
[訳] 訴えられている借金の一部分は返済しないで。
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