学研全訳古語辞典 |
ただなら-・ず 【徒ならず】
分類連語
①
意味ありげだ。いわくありげだ。
出典枕草子 宮の五節いださせ給ふに
「赤紐(ひも)の解けたるを、『これ結ばばや』と言へば、実方(さねかた)の中将寄りてつくろふに、ただならず」
[訳] (女房の)赤い飾り紐が解けたのを「これを結びたいわ」と言うと、実方の中将が近寄って結んでやるが(それが)意味ありげだ。
②
すぐれている。並々でない。
出典徒然草 二四
「もの古(ふ)りたる森の気色(けしき)もただならぬに」
[訳] 年月を経た古い森のようすも並々でないが。
③
懐妊しているようすだ。
出典平家物語 九・小宰相身投
「ただならずなりたることをも、日ごろは隠して言はざりしかども」
[訳] 懐妊しているようすになったことも、平素は隠して言わなかったが。
なりたち
形容動詞「ただなり」の未然形+打消の助動詞「ず」
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