学研全訳古語辞典 |
ばう 【坊】
①
平城京・平安京で、四方を大路で囲まれた一画。
②
「東宮坊(とうぐうばう)」の略。また、転じて、東宮(=皇太子)。
出典源氏物語 桐壺
「ばうにも、ようせずは、この御子(みこ)の居給(たま)ふべきなめり」
[訳] 東宮(の位)にも、悪くすると、この皇子(=光源氏)がおつきになるかもしれない。
③
僧の住む所。僧坊。◇「房(ばう)」とも書く。
④
僧。
出典徒然草 八七
「御ばうは口惜しき事し給(たま)ひつるものかな」
[訳] 貴僧はくやしいことをなさったものだ。◇「房」とも書く。
⑤
宿坊。参詣(さんけい)人を泊める所。
ばう 【房】
①
部屋。つぼね。
出典栄花物語 様々の喜び
「御ばうの前の桜の、いとおもしろう盛りなりければ」
[訳] お部屋の前の桜が、とてもすばらしく盛りであったので。
②
「ばう(坊)
③
」に同じ。
出典宇治拾遺 一四・一
「さらばわがばうに具して行きて」
[訳] それではわたしの僧坊に連れて行って。③「ばう(坊)
④
」に同じ。
出典平家物語 五・福原院宣
「思ひも寄らぬ事のたまふ聖(ひじり)の御ばうかな」
[訳] 思いもよらないことを言われるお坊様だなあ。
-ばう 【房】
僧の名に付ける。「観音房」「情妙房」
ばうのページへのリンク |