学研全訳古語辞典 |
もの-を
《接続》活用語の連体形に付く。
①
〔逆接の確定条件〕…のに。…けれども。
出典土佐日記 一二・二六
「都出(い)でて君に逢(あ)はむと来(こ)しものを来しかひもなく別れぬるかな」
[訳] 都を出てあなたに会おうと思ってはるばるやって来たのに、来たかいもなくもうお別れしてしまうことですね。
②
〔順接の確定条件〕…ので。…だから。
出典浮世風呂 滑稽
「日がな一日ゐたり立ったりするものを、腹もへらうぢゃあねえか」
[訳] 朝から晩まで座ったり立ったりするのだから、腹もへるというものさ。
参考
形式名詞「もの」に間投助詞「を」が付いて一語化したもの。
もの-を
《接続》活用語の連体形に付く。〔感動〕…のになあ。…のだがなあ。
出典源氏物語 若紫
「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる。伏籠(ふせご)のうちに籠(こ)めたりつるものを」
[訳] すずめの子を犬君(=童女の名)が逃がしてしまったの。伏籠の中にとじこめていたのになあ。◆形式名詞「もの」に間投助詞「を」が付いて一語化したもの。
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