学研全訳古語辞典 |
もの-ゆゑ
《接続》活用語の連体形に付く。
①
〔逆接の確定条件〕…のに。…けれども。
出典古今集 恋一
「恋すれば我が身は影となりにけりさりとて人に添はぬものゆゑ」
[訳] 恋をしたので私の体は影のように瘦(や)せ細ってしまった、だからといって愛するあの人に影のように寄り添うわけにはいかないのに。
②
〔順接の確定条件〕…ので。…だから。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「事ゆかぬものゆゑ、大納言をそしり合ひたり」
[訳] (家来たちは)納得できないので、大納言を非難しあっている。
参考
形式名詞「もの」に形式名詞「ゆゑ」が付いて一語化したもの。格助詞「に」を伴い、「ものゆゑに」の形でも用いられる。中古以降、多くの例が「ぬ」「ざらむ」「なき」など打消の語の下に付く。②は中古以降見られる。
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