学研全訳古語辞典 |
よ・る 【因る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
基づく。原因となる。
出典徒然草 九一
「吉凶は人によりて、日によらず」
[訳] 吉凶は人に基づいて(決まることで)、日(のよしあし)に基づかない。
よる 【夜】
日没から日の出までの時間をいう。[反対語] 昼(ひる)。
夜の寝覚
分類書名
物語。作者未詳(菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)か)。平安時代後期(一〇五三以後)成立。三巻または五巻。〔内容〕関白の子の中納言と太政大臣の姫君(=寝覚の上)との恋愛問題をとり扱った作品で、『源氏物語』の影響を強くうけている。『夜半(よは)の寝覚』とも。
よ・る 【寄る・依る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
近づく。近寄る。接近する。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「あやしがりてよりて見るに、筒の中光りたり」
[訳] 不思議に思って近づいて見ると、(竹の)筒の中が光っている。
②
寄り集まる。寄り合う。
出典万葉集 四二一七
「卯(う)の花を腐(くた)す長雨(ながめ)の水(みづ)はなによる木(こ)つみなすよらむ児(こ)もがも」
[訳] 卯の花を腐らせる長雨の流れの先頭に寄り集まる木屑(きくず)のように私のところに寄り集まる子供がほしいなあ。
③
立ち寄る。訪問する。
出典竹取物語 蓬莱の玉の枝
「我が御家にもより給(たま)はずしておはしたり」
[訳] ご自分のお屋敷にも立ち寄りなさらないで(かぐや姫の家に)おいでになった。
④
頼る。頼りにする。すがる。
出典古今集 雑体
「伊勢(いせ)の海人(あま)も舟流したる心地してよらむ方(かた)なく」
[訳] (七条の后(きさき)がなくなって)伊勢の漁師(=自分)も波に舟をさらわれたような気持ちになって、頼りにするようなところもなく。
⑤
もたれかかる。寄りかかる。
出典源氏物語 帚木
「『あなかま』とて、脇息(けふそく)によりおはす」
[訳] 「ああ、やかましい」といって、脇息にもたれかかっていらっしゃる。
⑥
(神霊・物の怪(け)などが)のり移る。とりつく。
出典今昔物語集 三一・七
「いくばくもなく病付きて、日ごろ経てつひに失(う)せにけり。その女のよりたるにやとぞ」
[訳] まもなく病気になって、数日たってとうとう死んでしまった。その女(の霊)がのり移ったのであろうかと(評判になった)。
⑦
(心が)寄る。傾く。
出典万葉集 三二六七
「うち靡(なび)き心は妹(いも)によりにけるかも」
[訳] (玉藻(たまも)が)なびくように、私の心はあなたに傾き寄ってしまったよ。
よ・る 【縒る・搓る・撚る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
何本かをねじり合わせて一本にする。
出典徒然草 九
「女の髪すじをよれる綱には」
[訳] 女の髪の毛をねじり合わせて一本にした綱には。
②
ねじ曲げる。
出典新古今集 夏
「よられつる野もせの草のかげろひて涼しく曇る夕立の空」
[訳] 日光の暑さにねじ曲げられた野原一面の草がかげってきて、涼しく曇った空から夕立が降ってきた。
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
しわになる。
出典古今集 雑体
「蟬(せみ)の羽(は)の(=枕詞(まくらことば))ひとへに薄き夏衣(なつごろも)なればよりなむ物にやはあらぬ」
[訳] (蟬の羽のように)たいへん薄い夏の衣服は着なれると、しわになるような物ではないかしら。
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