学研全訳古語辞典 |
わらは 【妾】
わたくし。▽自称の人称代名詞。女性がへりくだっていう語。
出典平家物語 一一・副将被斬
「思ひ変へずして育てて、わらはが形見に御覧(ごらん)ぜよ」
[訳] (この子への)愛情を変えないで育てて、わたくしの形見として見守ってください。
参考
「童(わらは)」のように幼稚で未熟な者が原義。中古末期以降の語。近世になると謙称の意識が失われ、多く、武家の女性が目下の者に対する自称として用いるようになる。
わらは 【童】
①
(元服前の)子供。▽束ねないで下げ垂らした髪型をしている。多く十歳前後の子供をいう。
出典枕草子 小白河といふ所は
「まだわらはなる君など、いとをかしくておはす」
[訳] まだ(元服前の)子供である君達など、たいそうかわいくていらっしゃる。
②
召使いの少年・少女。▽「殿上(てんじやう)童」「小舎人(こどねり)童」「牛飼ひ童」など。
出典土佐日記 一・二一
「使はれむとて、つきて来るわらはあり」
[訳] 使ってもらおうとして、ついて来る少年がいる。
③
寺の召使いの少年。稚児(ちご)。
出典徒然草 五三
「わらはの法師にならんとする名残とて」
[訳] 稚児が法師になろうとする最後の別れということで。
④
「五節(ごせち)の舞姫」に付き従う少女。
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