学研全訳古語辞典 |
た
…は。▽係助詞「は」がtで終わる字音語の下に付いたとき、連声(れんじよう)で「た」と発音されるもの。表記は「は」となるのが普通。
出典附子 狂言
「今日は(コンニッタ)、所用あって山一つあなたへ参りまする」
[訳] 今日は、用事があって山一つ向こうへ参ります。◆能や狂言で多く用いられる。
た
《接続》活用語の連用形に付く。
活用{たら/たり/た/た/たれ/○}
①
〔完了・存続〕…た。…ている。
出典平家物語 四・橋合戦
「橋をひいたぞ。あやまちすな」
[訳] 橋板をとりはずしたぞ。けがをするな。
②
〔過去〕…た。
出典末広がり 狂言
「その末広がりをおぬしは見たことがあるか」
[訳] その扇をあなたは見たことがあるのか。◆完了の助動詞「たり」の連体形「たる」の変化した語。
た-
名詞・副詞・動詞・形容詞の上に付いて、語調を整え、意味を強める。「たわらは」「たゆたに」「たやすし」「たもとほる」
た 【他】
ほか。べつ。ほかの人。ほかの所。
た 【田】
田。耕して水を入れ、稲を植える地。
た 【誰】
だれ。▽不定称の人称代名詞。
出典枕草子 五月ばかり、月もなう
「たが教へを聞きて、人のなべて知るべうもあらぬことをば言ふぞ」
[訳] だれの教えを聞いて、人が普通知りそうもないことを言うのか。
語法
格助詞「が」を伴って「たが」の形で、連体修飾語として用いる例がほとんどである。
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