学研全訳古語辞典 |
くだ・す 【下す・降す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
おろす。(下流に)流す。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「かた時のほどとてくだししを」
[訳] ほんのちょっとの間ということで、かぐや姫を天からおろしたのだが。
②
降らせる。
出典拾遺集 雑秋
「時雨(しぐれ)をくだす雲となりけれ」
[訳] 時雨を降らす雲となるのであったなあ。
③
(地方に)行かせる。下向させる。
出典平家物語 三・御産
「宰相、京より人をくだして」
[訳] 宰相は、都から人を下向させて。
④
下賜(かし)する。与える。(命令などを)申し渡す。▽上位の者から下位の者へ物や命令を与える。
出典落窪物語 四
「中納言、大納言に成り給(たま)ふ宣旨(せんじ)くだし給ひつ」
[訳] 中納言が大納言に昇進なさる宣旨をお申し渡しなさった。
⑤
(筆を紙の上に)おろす。
出典源氏物語 梅枝
「おもなくくだす筆の程」
[訳] 平然として筆をおろす、その筆跡の程度は。
⑥
(程度・価値・調子を)低める。
出典源氏物語 若菜上
「琴の緒(を)もいとゆるに張りて、いたうくだして調べ」
[訳] 琴の糸もとてもゆるやかに張って、ずっと低い音にして演奏し。
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