学研全訳古語辞典 |
さが・る 【下がる】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
垂れる。ぶら下がる。
出典万葉集 八九二
「海松(みる)のごとわわけさがれる襤褸(かかふ)のみ肩にうち懸け」
[訳] ⇒かぜまじり…。
②
下がる。低くなる。
出典枕草子 ある所になにの君とかや
「五寸ばかりさがりて、火をさしともしたるやうなりけるに」
[訳] (額髪(ひたいがみ)が)五寸ほど下がっていて、ともし火を近くにつきつけたようであったが。
③
後になる。遅れる。
出典平家物語 四・橋合戦
「さがらう者をば弓の筈(はず)に取りつかせよ」
[訳] (流れに流されて、列から)遅れるような者は弓のはずにつかまらせよ。
④
退く。
出典平家物語 一・祇王
「はるかにさがりたる所に、座敷しつらうておかれたり」
[訳] はるかに退いた所に、座敷をこしらえて控えさせられていた。
⑤
時がある刻限を過ぎる。
出典宇治拾遺 一一・五
「さがるといふ定(ぢやう)、午未(うまひつじ)の時には渡らんずらんものをと思ひて」
[訳] 刻限を過ぎるということだったが、午(=正午ごろ)から未(=午後二時ごろ)には(行列が)やってくるはずなのにと思って。
⑥
(勢い・技能などが)衰える。
出典風姿花伝 一
「上がるは三十四、五までの比(ころ)、さがるは四十以来なり」
[訳] (能の技能が)上がるのは三十四、五歳ぐらいまで、衰えるのは四十歳以降だ。[反対語]①~⑥上がる。
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