学研全訳古語辞典 |
あ 【吾・我】
私。▽自称の人称代名詞。
出典万葉集 八九〇
「今日(けふ)今日とあを待たすらむ」
[訳] 今日こそは今日こそはと私を待っていらっしゃることだろう。
語の歴史
主に上代に使われた語。中古以後は、助詞「が」を伴った「あが君」「あが仏」などの形で使われた。⇒あが
あれ 【吾・我】
私。
出典万葉集 八九二
「あれをおきて人はあらじと誇(ほこ)ろへど」
[訳] ⇒かぜまじり…。
わぬ 【吾・我】
われ。わたし。▽自称の人称代名詞。◆上代の東国方言。
やつかれ 【僕・吾・余・臣】
わたくしめ。▽自称の人称代名詞。謙そんしていう語。
出典日本書紀 安閑
「また、やつかれ憂へまをすところなり」
[訳] また、わたくしめは、嘆き申し上げるところだ。
参考
「やつこ(奴)あれ(吾)」の変化した語で、上代は男女ともに用いた。鎌倉時代までは「やつかれ」で、その後「やつがれ」となるが、近世になると、男性の古風な文語的な表現として用いられた。
わ 【我・吾】
私。▽自称の人称代名詞。
出典万葉集 三三七
「憶良(おくら)らは今はまからむ子泣くらむそを負ふ母もわを待つらむそ」
[訳] ⇒おくららは…。
わ- 【我・吾】
相手を表す語に付いて、親愛の情や軽く見る気持ちを表す代名詞をつくる。「わ殿」「わ主(ぬし)」◆「和」とも書く。
われ 【我・吾】
①
私。▽自称の人称代名詞。
出典平家物語 九・木曾最期
「われは討ち死にせんと思ふなり」
[訳] 私は討ち死にしようと思うのだ。
②
自分。その人自身。
出典平家物語 九・木曾最期
「大勢のなかにとりこめて、われうっとらんとぞすすみける」
[訳] 大勢のなかにおしこめて、自分こそ討ち取ろうと進み出た。
③
おまえ。▽対称の人称代名詞。対等または目下の者に対して用いる。中古末期以後の用法で、後に相手を卑しめていうのに用いられた。
出典宇治拾遺 一〇・一〇
「われは京の人か」
[訳] おまえは京の人か。
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