学研全訳古語辞典 |
うら・む 【恨む・怨む】
活用{み/み/む/むる/むれ/みよ}
①
恨みに思う。憎く思う。
出典徒然草 三六
「久しくおとづれぬころ、いかばかりうらむらんと我が怠り思ひ知られて」
[訳] 長い間訪問しないでいたころ、(女が)どれほど私を恨みに思っていることだろうかと自分の怠惰を身にしみて知らされて。
②
恨み言を言う。
出典古今集 春下
「花散らす風の宿りはたれか知る我に教へよ行きてうらみむ」
[訳] 桜の花を散らす風の宿をだれか知っているだろうか。私に教えてくれ。行って恨み言を言おう。
③
恨みを晴らす。仕返しする。
出典徒然草 一一五
「その人に逢(あ)ひ奉りて、うらみ申さばやと思ひて」
[訳] その人にお会いして、恨みを晴らし申し上げたいと思って。
④
悲しむ。嘆く。
出典後撰集 恋一
「時過ぎにける身をぞうらむる」
[訳] 時間が過ぎてしまった(あなたから思われなくなった)わが身を嘆くことだ。
⑤
(虫や風が)悲しげに音をたてる。▽自動詞的な用法。
出典平家物語 五・月見
「虫の声々うらみつつ」
[訳] 虫の声が悲しげに鳴きたてて。
活用{ま/み/む/む/め/め}
[一]に同じ。
出典奥の細道 象潟
「松島は笑ふがごとく、象潟(きさかた)はうらむがごとし」
[訳] 松島は笑っているようだし、象潟は恨んでいるようだ。◆近世以降に使われる語。
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