学研全訳古語辞典 |
いた・す 【致す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
至らせる。
出典日本書紀 持統
「水田は曾孫(ひひこ)にいたせ」
[訳] 水田は曾孫(ひまご)にまで至らせよ。
②
尽くす。ささげる。
出典沙石集 八
「貧しき民は妻子を売り、家財をいたし」
[訳] 貧しい民は妻子を売り、家財を出し尽くし。
③
もたらす。
出典平家物語 一・鹿谷
「是(これ)にも、よろづ、思ふさまなるがいたす所なり」
[訳] これもすべて(平家が)思いのままに振る舞っていることがもたらした結果なのである。
④
いたす。させていただく。▽「す」「なす」の謙譲語。
出典庖丁聟 狂言
「そのとほりにいたせば済む事でござるか」
[訳] そのとおりにさせていただくと済むことでございますか。
⑤
します。▽「す」「なす」の丁寧語、また、改まった言い方。
出典太平記 四
「さまざまの作善(さぜん)をいたして」
[訳] さまざまの善事を行い、功徳を積むことをしまして。
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
〔動詞の連用形や漢語サ変動詞の語幹に付いて〕…させていただく。…申し上げる。…します。▽謙譲・丁寧の意を表す。
出典秀句傘 狂言
「身どもは御奉公いたすことがなるまい」
[訳] 私としてはご奉公申し上げるわけにはいかない。
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