学研全訳古語辞典 |
天の香具山
分類地名
歌枕(うたまくら)。大和の国にある小山。今の奈良県橿原(かしはら)市にある。近くの畝傍(うねび)山・耳成(みみなし)山とともに大和三山と呼ばれ、神聖視されてきた。香具山。上代は「あめのかぐやま」とも。
余りの心
分類文芸
和歌用語。言葉の外に自然ににじみ出た余情や情趣のこと。藤原公任(ふじわらのきんとう)がその歌論書『新撰髄脳(しんせんずいのう)』などで、理想とした和歌の姿である。
字じ余り
分類文芸
和歌・俳句で、一句の音数が定められた五音・七音より多いこと。たとえば、「君がため春の野に出(い)でて(八音)若菜摘むわが衣手(ころもで)に雪は降りつつ」(『古今和歌集』)〈⇒きみがためはるののにいでて…。〉「枯れ枝に烏(からす)のとまりたるや(十音)秋の暮れ―芭蕉」(『東日記』)〈⇒かれえだに…。〉など。
あま 【海人・海士・蜑】
①
海で魚や貝を採ったり、塩を作ることを仕事とする人。漁師。漁夫。
出典古今集 羇旅
「わたの原八十島(やそしま)かけて漕(こ)ぎ出(い)でぬと人には告げよあまの釣(つ)り舟」
[訳] ⇒わたのはらやそしまかけて…。
②
海にもぐって貝や海藻を採る女性。
出典枕草子 日のいとうららかなるに
「あまの潜(かづ)きしに入るは憂きわざなり」
[訳] 海女が海に潜りに入るのはつらい仕事だ。◇「海女」とも書く。
あま 【尼】
①
出家して仏門に入った女性。
②
「あまそぎ」に同じ。
あま 【天】
天(てん)。空。
出典万葉集 二四〇
「ひさかたの(=枕詞(まくらことば))あま行く月を」
[訳] 大空を行く月を。
参考
「あめ」の古形といわれる。単独ではあまり用いられず、ふつう「天つ」(「つ」は「の」の意の上代の格助詞)「天の」の形で用いられるか、または複合語を作ることが多い。上代には主として高天原(たかまのはら)に関する事象に用いられたが、中古以降は空の意にも用いられた。
天の橋立
分類地名
歌枕(うたまくら)。今の京都府宮津市江尻(えじり)から宮津湾西岸に突き出た砂州。海岸の美しい景色で知られ、宮城県の松島、広島県の宮島(=厳島(いつくしま))とともに日本三景の一つとして有名。
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