学研全訳古語辞典 |
あまりことばのかけたさに…
分類歌謡
「あまり言葉のかけたさにあれ見さいなう空行く雲の速さよ」
出典閑吟集
[訳] 恋しい人に、あまりにも言葉をかけてみたい気持ちが募ったので、つい
「あれをご覧なさい。空を流れていく雲の何と速いこと」
と言ってしまった。
鑑賞
恋しい気持ちをいくらかでも伝えたいと思いながら、どうしても声をかけられずに並んで空を見上げている二人。やっとの思いでかけた言葉も、さほど重要でない空の雲の話題で、滑稽(こつけい)さとほのぼのとした雰囲気が漂う歌。「さい」は、軽い尊敬や親愛の情を表す助動詞「さる」の命令形。「なう」は詠嘆を表す終助詞。
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