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うへの意味

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学研全訳古語辞典

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うへ 【上】

名詞

表面。うわべ。おもて。


出典伊勢物語 九


「水のうへに遊びつつ魚(いを)を食ふ」


[訳] (白い鳥が)水の表面で自由に泳ぎ回りながら魚を食べる。


上方。上部。


出典万葉集 一一一


「いにしへに恋ふる鳥かもゆづるはの御井(みゐ)のうへより鳴き渡りゆく」


[訳] 昔を恋うる鳥なのか。ゆずりはの生えている御井の上方を鳴いて飛んでゆく。[反対語] 下(した)。


付近。ほとり。


出典万葉集 一四一八


「石走(いはばし)る垂水(たるみ)のうへの早蕨(さわらび)の萌(も)え出(い)づる春になりにけるかも」


[訳] ⇒いはばしる…。


天皇。主上。▽中世以降、将軍や主君にも用いる。


出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの


「うへも聞こし召し、めでさせ給(たま)ふ」


[訳] (一条)天皇もお聞きになり、お褒めになる。


奥方。奥様。▽貴人の妻の尊敬語。


出典竹取物語 竜の頸の玉


「離れ給(たま)ひしもとのうへは、腹を切りて笑ひ給ふ」


[訳] お別れになったもとの奥方は、腹をよじってお笑いになる。


御座所。高貴な方の部屋。


出典枕草子 頭の中将の


「あなうれし。下(しも)にありけるよ。うへにてたづねむとしつるを」


[訳] ああうれしい。下局(しもつぼね)にいたのですね。(中宮の)御座所でさがそうとしていたのだが。


殿上(てんじよう)の間(ま)。清涼殿内にある殿上人の控え室。


出典伊勢物語 一〇一


「うへにありける左中弁藤原良近(ふぢはらのまさちか)といふを」


[訳] 殿上の間にいた左中弁藤原良近という人を。


上局(うえつぼね)。清涼殿内の、中宮や女御(にようご)の控え室。


出典枕草子 かへる年の


「見るべきことありて、うへになむ上り侍(はべ)る」


[訳] 用事があって、上局に上がります。


上位。上。▽身分・地位・程度などについていう。


出典十訓抄 一


「斉信卿(ただのぶきやう)上﨟(じやうらふ)にて、公任(きんたふ)卿のうへにつかれたりける」


[訳] 斉信卿は身分が高い人として、公任卿の上位におつきになった。


その人や物に関すること。身の上。


出典大和物語 一四九


「我がうへを思ふなりけりと思ふに、いとかなしうなりぬ」


[訳] 自分の身の上のことを案じているのだったと思うと、(妻が)大変いとしくなった。


そのうえ。▽あることにさらにある物ごとが加わる意。


出典徒然草 七五


「惑ひのうへに酔へり」


[訳] 迷っているそのうえに酔っている。


〔下に「は」を伴って〕…である以上。…からには。


出典平家物語 一・殿上闇討


「かへつて叡感(えいかん)にあづかっしうへは、あへて罪科(ざいくわ)の沙汰(さた)もなかりけり」


[訳] かえって(上皇の)おほめをいただいた以上は、まったく処罰の命令もなかった。


上。御方様。▽貴婦人の呼び名に「の上」の形で添えて尊敬の意を表す。


出典源氏物語 藤袴


「北の方は紫の上の御姉ぞかし」


[訳] 奥方は紫の上のお姉様であるよ。


参考

からは、形式名詞として用いる。



-うへ 【上】

接尾語

目上の人を表す語の下に付けて、尊敬の意を表す。「父上」「兄上」「尼上」








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