学研全訳古語辞典 |
き
《接続》活用語の連用形に付くが、カ変・サ変動詞には特殊な付き方をする。⇒語法(3)〔過去〕(以前に)…た。
出典更級日記 竹芝寺
「この男(をのこ)の家ゆかしくて、率(ゐ)て行けと言ひしかば、率て来(き)たり」
[訳] (私は)この男の家が見たくて、(この男に)連れて行けと言ったので、(男は私を)連れて来たのです。
語法
(1)未然形の「せ」未然形の「せ」は、接続助詞「ば」を伴って反実仮想の表現に限って用いられる。その「せば」は、「まし」の前提条件となっており、サ変動詞「す」の未然形とする説もある。⇒せば(2)文末連体形の「し」(中世以降の用法)鎌倉時代以降、係助詞「ぞ」などがなくても、連体形「し」で文を終止するものが見られる。(例)「『その人、ほどなく失(う)せにき』と聞き侍(はべ)りし」(『徒然草』)〈「その人は間もなく亡くなってしまった」と聞きました。〉(3)カ変・サ変動詞への接続カ変に付く場合 連体形「し」と已然形「しか」がカ変の未然形「こ」・連用形「き」に付く。終止形「き」はカ変には付かない。サ変に付く場合 連体形「し」と已然形「しか」がサ変の未然形「せ」に、終止形「き」がサ変の連用形「し」に付く。(4)過去の助動詞「けり」との違い
紀の川
分類地名
今の和歌山県北部を西流して和歌山市の北西で紀伊水道に注ぐ川。吉野川の下流で、吉野との水運に利用された。
き 【来】
動詞「来(く)」の連用形。
き 【奇】
珍しいこと。普通ではないこと。
-き 【寸】
①
上代の長さの単位。尺貫(しやつかん)法の「寸(すん)(=約三センチ)」とほぼ同じ長さ。
②
馬の背丈を測る単位。肩から足もとまでが四尺(=約一二〇センチ)の馬を標準とし、それより一寸(いつすん)高いものを「一寸(ひとき)」のようにいう。
き 【季】
①
季節。
②
年季。▽江戸時代、奉公の期間を表す単位としての一年を「一季」とし、半年を「半季」とする。
③
(連歌・俳諧(はいかい)で、句の分類概念としての四季それぞれの)季節。(句に詠み込む)四季の景物。⇒季語(きご)
分類文芸
き- 【貴】
〔主として漢語名詞に付いて〕身分が高い。尊い。▽尊敬の意を添える。「き公」「き殿」「き命(めい)」
き 【忌】
①
忌中。いみ。喪に服して身を慎む一定の期間。
②
(死者の)命日。忌日。
き 【綺】
織物の一つ。金糸や色糸などをまぜて、模様を浮かせ織りにした薄い絹織物。
き 【記】
①
文書。
②
『古事記』の略。
き 【紀】
①
『日本書紀』の略。
②
紀伊(きい)の国。今の和歌山県の大部分と三重県の一部。
き 【城・柵】
防塞(ぼうさい)。とりで。敵を防ぐために、周囲に柵(さく)・堀などをめぐらした所。
き 【木・樹】
①
樹木。
②
材木。
③
芝居で使う拍子木(ひようしぎ)。幕の開閉や楽屋への合図などに打つ。◇「柝」とも書く。歌舞伎(かぶき)用語。
き 【気】
①
(万物を生育させるという)精気。
②
空気。大気。また、季節・風雨・寒暑などの気配や、雲・霧など。
出典徒然草 一五五
「春はやがて夏のきをもよほし」
[訳] (春が終わって夏が来るのではなく)春はそのまま夏の気配を誘い出し。
③
活力。生気。気力。気勢。
出典平家物語 三・大臣流罪
「花、芬馥(ふんぷく)のきを含み」
[訳] 花は芳香の生気をただよわせ。
④
気持ち。気分。
出典笈の小文 俳文・芭蕉
「時々きを転じ、日々に情(じやう)を改む」
[訳] その時その時に応じて気分を変え、その日その日に応じて心持ちを新たにする。
⑤
心の働き。意識。
き 【酒】
酒(さけ)。◆上代語。
き 【驥】
一日に千里を走るという名馬。駿馬(しゆんめ)。
出典徒然草 八五
「きを学ぶはきの類(たぐ)ひ」
[訳] 一日に千里を行く名馬のまねをする馬は、一日に千里を行く馬と同類であり。
切れ字
分類文芸
連歌・俳諧(はいかい)の発句(ほつく)で、一句のうちで意味の上で切れるところに用いられて、意味の上の完結や強調・余韻などを表す語。「や」「かな」「けり」などの助詞・助動詞が主に用いられる。「荒海や佐渡に横たふ天の河」(『奥の細道』)〈⇒あらうみや…。〉の「や」など。
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