学研全訳古語辞典 |
きみこむと…
分類和歌
「君来(こ)むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば頼まぬものの恋ひつつぞふる」
出典新古今集 恋三・よみ人知らず
[訳] あなたが
「来よう」
と言ったそのどの夜もどの夜も来ることなく過ぎてしまったので、もう当てにはしていないけれども、それでも恋しく思いながら日を送っている。
鑑賞
『伊勢(いせ)物語』二十三段にも載る。それによると、ある男が、河内(かわち)の国に新たに通う女ができたが、妻の真情にうたれて通わなくなった。女は男の訪れを待つが、そのうちようやく「来よう」と言って寄こした。喜んで待っていたがその都度寄らずに通り過ぎてしまった。そこで詠んだ歌という。
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