学研全訳古語辞典 |
ひととせに…
分類和歌
「ひととせにひとたび来ます君待てば宿かす人もあらじとぞ思ふ」
出典古今集 羇旅・紀有常(きのありつね)・伊勢物語八二
[訳] 七夕(たなばた)姫は、一年に一度訪ねていらっしゃるお相手を待つものだから、彼女が宿を貸す人は我々のなかにはいないだろうと思いますよ。
鑑賞
惟喬親王(これたかしんのう)のお供で狩りに出掛け、帰路天の川という名の河辺で酒宴をしたときの歌。川の名に興趣を感じた親王が、お供の者たちに題詠をさせた。在原業平(ありわらのなりひら)が「狩り暮らしたなばたつめに宿からむ天の河原に我は来にけり」(『古今和歌集』)〈⇒かりくらし…。〉と詠んだところ、親王は返歌に窮された。そこで、紀有常が親王に代わって詠んだ歌がこの歌である。
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