学研全訳古語辞典 |
まうく
助動詞「まうし」の連用形。
まう・く 【設く・儲く】
{語幹〈まう〉}
①
準備する。用意する。
出典平家物語 四・橋合戦
「杉の渡しより寄せんとてまうけたる舟どもを」
[訳] 杉の渡し場から攻めようとして用意していた舟々を。
②
作り構える。こしらえる。
出典源氏物語 若紫
「草の御蓆(むしろ)も、この坊にこそまうけ侍(はべ)るべけれ」
[訳] 旅の仮寝のお宿も、この僧坊に作り構えるべきでしょう。
③
(妻や子を)持つ。
出典大和物語 一四九
「妻(め)をまうけてけり」
[訳] 妻を持っていた。
④
得をする。手に入れる。
出典徒然草 五三
「からき命まうけて、久しく病みゐたりけり」
[訳] あやうい命を手に入れて(=助かって)、長い間病気で苦しんでいた。
⑤
かかる。
出典徒然草 一七五
「財(たから)を失ひ、病(やまひ)をまうく」
[訳] 財産を失い、病気にかかる。
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