学研全訳古語辞典 |
みづとりの…
分類和歌
「水鳥の発(た)ちの急きに父母に物言(ものは)ず来(け)にて今ぞ悔しき」
出典万葉集 四三三七・防人歌
[訳] 水鳥が飛び立つような出発のあわただしさのために、父母にものも言わず来てしまって、今となってはとても悔しい。
鑑賞
筑紫へ向かう途上、父母を思い出しての作。防人の任期は三年だが生きて帰れる保証はない。故郷が遠ざかるにつれ、旅立ちのとき、父母と十分話せなかったことが今さらながらに悔やまれる。父母に対する情愛に満ちた歌。「来(け)にて」は上代の東国方言。
みづとり-の 【水鳥の】
分類枕詞
水鳥の代表であることから「鴨(かも)」、および同音の地名「賀茂(かも)」に、また、水鳥の色や生態から「青葉」「立つ」「浮き(憂き)」などにかかる。「みづとりの鴨」
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