学研全訳古語辞典 |
や-らん
分類連語
①
…だろうか。…のだろうか。▽疑問をこめた推量の意を表す。
出典平家物語 一・祇王
「いかさま、これは『祇(ぎ)』といふ文字を名に付いて、かくはめでたきやらん」
[訳] きっとこれは「祇」という文字を名前につけているので、このように、すばらしい運なのだろうか。
②
…とかいうことだ。▽不確かなこととしていう。
出典徒然草 一〇九
「鞠(まり)も難(かた)き所を蹴出(けい)だしてのち、やすく思へば必ず落つと侍(はべ)るやらん」
[訳] 蹴鞠(けまり)でも難しいところをうまくけりだしたあと、安心していると必ず(けりそこなって、まりが)落ちるとかいうことです。
③
…か。▽不確実な事柄を列挙する。
出典平家物語 六・横田河原合戦
「かやうに波の立つやらん、風の吹くやらんも知らぬ体(てい)にて」
[訳] このように波が荒れるか、風が吹くかも知らないようすで。◆「やらむ」とも表記する。
なりたち
断定の助動詞「なり」の連用形「に」+係助詞「や」+ラ変動詞「あり」の未然形+推量の助動詞「む」の連体形からなる「にやあらむ」の変化した形。
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