学研全訳古語辞典 |
なに-と 【何と】
分類連語
①
どういうことかと。どんなものかと。
出典源氏物語 薄雲
「なにと分くまじき山伏などまで」
[訳] (物の道理が)どういうことかと判断できそうもない山伏などまでが。
②
…や何やと。…など。
出典土佐日記 一二・二七
「これかれ酒なにと持て追ひ来て」
[訳] この人やあの人が酒や何やと持って追いかけてきて。
なりたち
代名詞「なに」+格助詞「と」
①
どういうわけで。どうして。
出典続古今集 雑中
「なにとうき世にむすぼほるらむ」
[訳] どうしてつらい世の中に縁を結んでいるのだろう。
②
どのように。どう。
出典平家物語 一二・六代被斬
「維盛(これもり)の卿(きやう)の子息はなにと候ふやらん」
[訳] 維盛卿のお子様はどのようにしているでしょうか。
①
なに。なんだって。▽問い返すときに発する語。
出典烏帽子折 謡曲
「なにと、取れと候ふや」
[訳] なんだって、受け取れとおっしゃるのか。
②
どうだ。いかに。おい。▽問いかけるときに発する語。
出典武悪 狂言
「なにと、内へ入って一杯飲むまいか」
[訳] どうだ、中へ入って一杯飲もうか。
なん-と 【何と】
①
どう。どのように。▽疑問の意を表す。
出典平家物語 二・教訓状
「縦(たと)ひ人なんと申すとも」
[訳] たとえ人がどのように言っても。
②
どうして(…か、いや、…ない)。▽反語表現に用いる。
出典附子 狂言
「なんと食ふことがなるものか」
[訳] どうして食べることができるものか、いやできない。
ねえ。どうだ。▽人に問いかけたり、同意を求めるときに発する語。
出典神鳴 狂言
「『なんと取ったか』『なかなか、取りました』」
[訳] 「どうだ取ったか」「もちろん、取りました」。
参考
「なにと」の変化した語。
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