学研全訳古語辞典 |
もよほ・す 【催す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
引き起こす。誘い出す。
出典徒然草 一五五
「春はやがて夏の気(け)をもよほし」
[訳] (春が終わって夏が来るのではなく)春はそのまま夏の気配を誘い出し。
②
促す。催促する。せきたてる。
出典土佐日記 二・五
「『船とく漕(こ)げ。日も良きに』ともよほせば」
[訳] 「船を急いで漕げ。天気がいいから」と(船頭を)せきたてると。
③
とり行う。挙行する。開催する。
出典徒然草 一九
「公事(くじ)どもしげく、春のいそぎにとり重ねてもよほし行はるるさまぞ、いみじきや」
[訳] 宮中の行事も絶え間なく、新年を迎える支度に加えて開催し行われるようすは、実にすばらしいことだなあ。
④
呼び集める。召集する。集める。
出典平治物語 中
「甲斐(かひ)・信濃(しなの)の源氏どもをもよほして上るべし」
[訳] 甲斐(かい)と信濃の源氏たちを召集して上京せよ。
⑤
準備して待つ。待ちうける。待ちかまえる。
出典雨月物語 浅茅が宿
「絹あまた買ひ積みて、都に行く日をもよほしける」
[訳] 絹をたくさん買い集めて、京の都へ行く日を待ちかまえていた。
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