学研全訳古語辞典 |
かたぶ・く 【傾く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
かたむく。
出典枕草子 草は
「唐葵(からあふひ)、日の影にしたがひてかたぶくこそ」
[訳] からあおいは、太陽の光の移動に従って傾くというのが。
②
(太陽や月が)沈みかける。
出典伊勢物語 四
「あばらなる板敷きに月のかたぶくまで伏せりて」
[訳] (戸障子もなく)すき間の多い板張りの部屋に、月が沈みかけるまで伏せって。
③
衰える。滅びる。
出典大鏡 後一条
「臣下のあまたしてかたぶけ奉る時はかたぶき給(たま)ふものなり」
[訳] 臣下が大勢で衰えさせ申し上げるときは、滅びなさるものである。
④
首をかしげる。不審に思う。
出典源氏物語 桐壺
「相人(さうにん)驚きて、あまたたびかたぶきあやしぶ」
[訳] 人相見は驚いて、何度も首をかしげ不思議がる。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
かたむける。
出典平家物語 一一・能登殿最期
「甲(かぶと)の錣(しころ)をかたぶけ、太刀を抜いて、一面にうってかかる」
[訳] 甲の錣をかたむけ、太刀を抜いて一斉に討ってかかる。
②
滅ぼす。くつがえす。
出典栄花物語 月の宴
「帝(みかど)をかたぶけ奉らんと構ふる罪によりて」
[訳] 帝を滅ぼし申し上げようと計画した罪によって。
③
非難する。
出典源氏物語 少女
「あまり引きたがへたる御事なりと、かたぶけ侍(はべ)るめるを」
[訳] (右大将も)あまりにも一般の慣習と違った(源氏の)なされ方であると非難しているようですから。
かぶ・く 【傾く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
かたむく。
出典行宗卿集
「雨降れば門田の稲ぞしどろなる心のままにかぶき渡りて」
[訳] 雨が降ったので門前の田の稲が乱れている。思い思いに一面にかたむいて。
②
異様で派手な身なりや振る舞いをする。
出典猫のさうし 御伽
「かぶきたる形(なり)ばかりを好み」
[訳] 異様で派手なふうにした身なりばかりを好み。
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