学研全訳古語辞典 |
かた・し 【固し・堅し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
かたい。▽力を加えても形が変わらないようす。
出典源氏物語 行幸
「かたき巌(いはほ)も、沫雪(あはゆき)になし給(たま)うつべき御気色(けしき)なれば」
[訳] かたい岩も、あわ雪のようにしてしまいなさるにちがいないごようすなので。
②
かたい。▽物が動かないようす。
出典落窪物語 一
「中隔ての障子をあけ給(たま)ふに、かたければ」
[訳] 中仕切りの障子をお開けになると、かたいので。
③
堅固だ。厳重だ。
出典今昔物語集 一一・一一
「城かたく築き込めて」
[訳] 城を堅固に築いて。
④
厳しい。しっかりしている。強い。
出典源氏物語 明石
「后(きさき)のかたく諫(いさ)め給(たま)ふに」
[訳] お后が厳しくお諫めになるが。
⑤
堅苦しい。ぎこちない。
出典源氏物語 行幸
「いとわりなうしじかみ、ゑり深う、強う、かたう書き給(たま)へり」
[訳] とてもひどくちぢこまって、彫り込んだように深く強く、堅苦しくお書きになっている。◇「かたう」はウ音便。
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