学研全訳古語辞典 |
もち-・ゐる 【用ゐる】
{語幹〈もち〉}
①
(物を)使う。使用する。役立てる。
出典徒然草 二
「衣冠(いくわん)より馬・車に至るまで、あるに従ひてもちゐよ」
[訳] 衣服や冠から馬や牛車(ぎつしや)に至るまで、すべてありあわせの物でよいとして使用せよ。
②
(人を)登用する。任につかせる。とりたてる。
出典源氏物語 蓬生
「世にもちゐらるまじき老人(おいびと)さへ」
[訳] 世間で使ってもらえるはずのない老女房までもが。
③
採用する。聞き入れる。
出典平家物語 八・山門御幸
「西国へ院宣(いんぜん)くだされたりけれども、平家もちゐ奉らず」
[訳] 西国(にいる武士たち)へ上皇のご命令をお下しになったが、平家は聞き入れ申し上げない。
参考
中古の中ごろになると、語中語末の「ゐ」と「ひ」とが混同されて、「もちひる」とも書くようになる。中世前期ごろからハ行上二段に活用する「用ふ」が生じ、さらにヤ行上二段に活用する「用ゆ」の形も使われるようになった。
用ゐるのページへのリンク |