学研全訳古語辞典 |
ま-な-こ 【眼】
①
黒目。目玉。目。
②
物を見たり、本質・価値を見通す力。眼力(がんりき)。
出典源氏物語 薄雲
「罪重くて、天のまなこ恐ろしう思ひ給(たま)へらるることを」
[訳] 罪が重くて、天帝の眼力が恐ろしく思われておりますことを。◆目(ま)の子の意。「な」は「の」の意の古い格助詞。
め 【目・眼】
①
目。
出典奥の細道 旅立
「行く春や鳥啼(な)き魚(うを)のめは涙―芭蕉」
[訳] ⇒ゆくはるやとりなきうをの…。
②
会うこと。見ること。
出典万葉集 二九一一
「ひとめ多みめこそ忍ぶれ」
[訳] 人目が多いので、会うことは我慢しているけれど。
③
視線。まなざし。
出典源氏物語 夕顔
「人にめも見合はせ給(たま)はず」
[訳] 人と視線をお合わせにならないで。
④
(見る対象である)顔。姿。
出典万葉集 七六六
「路(みち)遠み来(こ)じとは知れるものからに然(しか)そ待つらむ君がめを欲(ほ)り」
[訳] 道が遠いので(あなたは)来ないだろうと知ってはいるが、そのようにして(家の外へ出て)待っているだろう、あなたの顔が見たくて。
⑤
(出会う)事態。▽多くよくない経験の場合に用いる。
出典伊勢物語 九
「もの心細く、すずろなるめを見ることと思ふに」
[訳] なんとなく心細く、思いがけない(ひどい)事態にであうことよと思っていると。
⑥
すきま。合わせ目。継ぎ目。編み目。
出典枕草子 雪は檜皮葺
「いと多うも降らぬが、瓦(かはら)のめごとに入りて」
[訳] それほど多くも降らない(雪)が、瓦と瓦の合わせ目ごとに入って。
⑦
点。穴。目。
出典万葉集 三八二七
「一二(ひとふた)のめのみにあらず五(いつつ)六(むつ)三(みつ)四(よつ)さへあり双六(すごろく)の采(さえ)」
[訳] 一、二の目ばかりでなく、五、六、三、四の目まであるよ。双六のさいころは。
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