学研全訳古語辞典 |
あひだ 【間】
①
(空間的にみた)あいだ。すきま。隔たり。
出典万葉集 二四四八
「白玉のあひだ開けつつ貫(ぬ)ける緒(を)もくくり寄すればまた逢(あ)ふものを」
[訳] 白玉と白玉とのあいだをあけて通したひもも、くくり寄せると、またくっつくのだから、私たちも遠く離れても、また会えるだろう。
②
(時間的にみた)あいだ。期間。うち。
出典土佐日記 一・一一
「かかるあひだに、みな、夜明けて、手洗ひ、例のことどもして、昼になりぬ」
[訳] こうしているうちに、すっかり夜が明けて、手を洗い、いつものことなどをして、昼になった。
③
(時間的な)切れ目。絶え間。
出典万葉集 三七八五
「ほととぎすあひだしまし置け汝(な)が鳴けば吾(あ)が思(も)ふこころいたもすべなし」
[訳] ほととぎすよ、しばらく切れ目をいれて(鳴いて)くれ。おまえが鳴くと、私の物思いに沈む心がどうしようもなくなるのだよ。
④
仲。間柄。
出典今昔物語集 二九・五
「貞盛(さだもり)は、この僧ともとよりいみじき得意にて、いみじく親しく語らひたりけるあひだなりければ」
[訳] 貞盛は、この僧と以前からたいそう通じ合う関係で、とても親しく話し合っていた間柄であったので。
⑤
…ので。…だから。
出典平家物語 二・西光被斬
「昼は人目の繁う候ふあひだ、夜にまぎれて参って候ふ」
[訳] 昼は人目が多うございますので、夜にまぎれて参上いたしました。
参考
⑤は形式名詞化して接続助詞のように用い、原因・理由を表す。中古には、記録体の文章にしかみられなかったが、中世以降通常の和文にも使われるようになった。
あひだのページへのリンク |