学研全訳古語辞典 |
うたて 【転】
①
ますますはなはだしく。いっそうひどく。
出典万葉集 二四六四
「見まくぞ欲しきうたてこのごろ」
[訳] (会えない妻に)会いたいと思うことだ。ますますはなはだしくこのごろは。
②
異様に。気味悪く。
出典枕草子 木の花は
「葉の広ごりたるさまぞ、うたてこちたけれど」
[訳] (桐(きり)は)葉が広がっているのが、異様におおげさだけれど。
③
面白くなく。不快に。いやに。
出典徒然草 三〇
「人の心はなほうたておぼゆれ」
[訳] 人の心というものはやはりいやに思われる。
⇒うたてし。
出典源氏物語 帚木
「あなうたて、この人のたをやかならましかば」
[訳] ああいやだ、この人が物やわらかであったならよいのに。
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