学研全訳古語辞典 |
うつ・し 【現し・顕し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
実際に存在する。事実としてある。生きている。
出典万葉集 三三三二
「山ながらかくもうつしく」
[訳] 山そのものとしてこのように実際に存在し。
②
正気だ。意識が確かだ。
出典万葉集 三七五二
「春の日のうら悲しきに後れ居て君に恋ひつつうつしけめやも」
[訳] 春の日がもの悲しいのに、家に残っていて、あなたを恋しく思いながら正気でいられるだろうか、いや、いられない。◇「うつしけ」は上代の未然形。
うつし 【移し】
①
草木などの花の汁を紙にすりつけて、その色を布に移し、染めること。また、その紙や染料。うつしがみ。うつしばな。
②
薫(た)き物などの香を衣服にしみこませること。また、その香り。
③
「移し馬(うま)」の略。
④
「移し鞍(くら)」「移しの鞍」の略。「移し馬」に置く鞍。
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