学研全訳古語辞典 |
おも-む・く 【赴く・趣く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
(その方に)向かう。向かって行く。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「よき方(かた)におもむきて吹くなり」
[訳] (風が)よい方向に向かって吹くようだ。
②
その方に心が向かう。志す。
出典徒然草 五八
「むさぼることを努めて、菩提(ぼだい)におもむかざらんは」
[訳] (世間の名利を)欲しがることに努力して、悟りの道に心が向かわないとしたら。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
向かわせる。
出典今昔物語集 二五・九
「ただ舟を下様(しもざま)におもむけよ」
[訳] ただ舟を下流に向かわせよ。
②
心を向かわせる。同意させる。従わせる。
出典源氏物語 少女
「恥づかしげなる御気色(けしき)なれば、強ひても、え聞こえおもむけ給(たま)はず」
[訳] こちらが恥ずかしくなるほど立派なごようすなので、むりに(考えを)申し上げて従わせることもおできにならない。
③
感じさせる。意向を示す。ほのめかす。
出典源氏物語 葵
「事のついでにはさやうにおもむけ奏せさせ給(たま)へ」
[訳] 何かのついでには、そのようにほのめかしご奏上なさってください。
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