学研全訳古語辞典 |
こころから…
分類和歌
「心から常世(とこよ)を捨てて鳴く雁(かり)を雲のよそにも思ひけるかな」
出典源氏物語 須磨
[訳] 自分から故郷の常世(仙郷=仙人の住む所)を捨てて旅の空に鳴く雁を、今までは他人事だと思っていたことでした(都を後にした今の私には、ひどく感慨深く聞こえます)。
鑑賞
須磨(すま)に退去し秋を迎えた源氏が、初雁の音を聞いて望郷の念を歌に詠んだのに対して、付き添ってきた、民部大輔(みんぶのたいふ)惟光(これみつ)が詠んだ歌。自分を雁に重ね合わせている。渡り鳥の「雁」は、この世ならぬ常世から、飛来すると思われていた。
こころから…
分類俳句
「心から信濃(しなの)の雪に降られけり」
出典文化句帖 俳諧・一茶(いつさ)
[訳] はるばるやって来た故郷だが、人々に冷たくされ、今去ろうとしている。折からの雪に降られて、心の底まで冷え切ってしまったことだ。
鑑賞
遺産相続の相談で帰郷した折のもの。相談は成功しなかった。季語は「雪」で、季は冬。
こころ-から 【心から】
分類連語
自分の心から起こって。
出典枕草子 御前にて人々とも
「こころから思ひ乱るる事ありて」
[訳] 自分の心から起こって煩悶(はんもん)することがあって。◆「から」は格助詞。
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