学研全訳古語辞典 |
こよ-な・し
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
かけはなれている。この上ない。
出典徒然草 七
「つくづくと一年(ひととせ)を暮らすほどだにも、こよなうのどけしや」
[訳] しみじみと一年を暮らす間だけでも、この上なくゆったりとしている(ものである)よ。◇「こよなう」はウ音便。
②
格段にすぐれている。
出典源氏物語 帚木
「人にもてかしづかれて、隠るること多く、自然(じねん)にそのけはひこよなかるべし」
[訳] (高貴な姫君は)人に大事に育てられて、(欠点が)隠れることが多く、しぜんにそのようすも格別にすぐれている(ように見える)だろう。
③
格別に劣っている。
出典宇津保物語 嵯峨院
「限りなくめでたく見えし君達(きんだち)この今見ゆるにあはすれば、こよなく見ゆ」
[訳] 最高にすばらしく見えた姫君たちも、この今目の前にしている姫君に比べると、格別に劣って見える。
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