学研全訳古語辞典 |
ず
《接続》活用語の未然形に付く。〔打消〕…ない。…ぬ。
出典伊勢物語 九
「京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず」
[訳] 都では見かけない鳥であるので、そこにいる人は皆、よく知らない。
語法
(1)連用形の「ず」 連用形の「ず」は、接続助詞を伴って「ずして」「ずて」となる。⇒ずして・ずて(2)連体形の「ざる」 連体形「ざる」に推定・伝聞の助動詞「なり」や推定の助動詞「めり」が付く場合、「ざるなり」「ざるめり」となるが、撥(はつ)音便化して「ざんなり」「ざんめり」となり、さらに「ん」が表記されないで「ざなり」「ざめり」となることが多い。⇒ざなり・ざめり(3)上代の活用形(4)未然形の「ず」 「ず+は」については、次の二とおりの説がある。[イ] の立場に立った場合にだけ未然形が存在することになる。⇒ずは・は
注意
同じ打消でも、「で(=ないで)」は「ず」の活用形の一つではなく、接続助詞である。
参考
「ず」の補助活用 「ざら・ざり・○・ざる・ざれ・ざれ」のラ変型活用は、「ず」の連用形+ラ変動詞「あり」からなる「ずあり」が変化したもので「ず」が他の助動詞などに接続しにくい点を補うために発達したとみられる。「ず」の補助活用という。
ず
打消の助動詞「ず」の連用形。
出典万葉集 四〇四九
「荒磯(ありそ)のめぐり見れど飽かずけり」
[訳] 荒磯(あらいそ)のまわりは(美しくて)見ても飽きないことよ。
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