学研全訳古語辞典 |
たらち-ね 【垂乳根】
①
母。
出典熊野 謡曲
「たらちねを守り給(たま)へや」
[訳] 母をお守りくださいな。
②
親。両親。
出典新古今集 雑下
「たらちねの諫(いさ)めしものを」
[訳] 親が忠告したのに。
③
父。▽母を「たらちめ」というようになったところから。
出典後拾遺集 雑五
「たらちねははかなくてこそやみにしか」
[訳] 父はここであっけなく亡くなってしまった。
参考
枕詞(まくらことば)「たらちねの」から転じて、そのかかる語「母」「親」をさすようになった。のち、母は「女(め)」であるとの意識が働いて、母を「たらちめ」というようになり、「たらちね」を父とするようになった。同様に、父は「男(を)」であるとの意識から、父を「たらちを」ともいうようになった。「たらち」を「垂乳」と書くのは、当て字。
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