学研全訳古語辞典 |
なほ-し 【猶し】
分類連語
①
それでもやはり。
出典万葉集 四四七〇
「水泡(みつぼ)なす仮(か)れる身そとは知れれどもなほし願ひつ千歳(ちとせ)の命を」
[訳] 水の泡のような、はかない仮りの身であるとは知っているが、それでもやはり願ってしまうよ、千年の寿命を。
②
ますます。いっそう。いよいよ。
出典今昔物語集 一〇・三四
「鳥の飛ぶよりも、なほし疾(と)く飛び行くに」
[訳] 鳥が飛ぶよりも、いっそう速く飛んで行くと。
なりたち
副詞「なほ」+強意の副助詞「し」
なほ・し 【直し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
まっすぐである。
②
整っていて平らである。
出典枕草子 正月十よ日のほど
「えせ者の家の荒畠(あらばたけ)といふものの、土うるはしうもなほからぬ」
[訳] 身分の低い者の家の荒れた畠といったところで、土がきちんと平らでない(所に)。
③
普通である。
出典源氏物語 総角
「目も鼻もなほしと覚ゆるは」
[訳] 目鼻立ちも普通であると思われるのは。
なほし 【直衣】
正服・礼服でない直(ただ)の服の意で、平服をいう。貴人の常用の略服。「袍(はう)」に形の似た、それよりやや短く狭い上着。位による色の規定がないため、好みの色を用いる。直衣を着用するときは、烏帽子(えぼし)または冠をつけ、指貫(さしぬき)の袴(はかま)をはく。勅許があれば宮中でも着用でき、名誉なこととされた。
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