学研全訳古語辞典 |
ひと-ま 【一間】
①
建物・橋などの、柱と柱の間一つ。
出典更級日記 竹芝寺
「勢多(せた)の橋をひとまばかりこぼちて」
[訳] 勢多の橋を(橋脚と橋脚との)間一つほど壊して。
②
縦横ともに柱と柱の間一つの長さの、小さな部屋。一つの部屋。
出典枕草子 成信の中将は
「一条の院に造らせ給(たま)ひたるひとまの所には」
[訳] 一条院にお造りになった一つの部屋の所には。
③
障子などの桟と桟の間一つ。
ひと-ま 【人間】
①
人のいないすき。人目のないとき。
出典更級日記 かどで
「等身(とうじん)に薬師仏(やくしほとけ)をつくりて、手洗ひなどして、ひとまにみそかに入りつつ」
[訳] 人間の身長と等しい高さに薬師如来(によらい)の像を作って、手洗いなどし(清め)て、人目のないときにひそかに(その部屋に)入っては。
②
人の訪れの間があくこと。疎遠になること。
出典女郎花 謡曲
「少し契りの障りあるひとまをまことと思ひけるか」
[訳] 少し仲違(なかたが)いで訪れの間があいたことを(私の)本当の心変わりと思ったのか。
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