学研全訳古語辞典 |
みる 【海松】
海藻の一つ。浅い海の底の岩に生え、濃緑色の枝葉が股(また)状に分岐する。古くは食用。その形状から「破れ衣」の形容に用いられることがあり、また、歌では「見る」にかけて詠まれることが多い。「海松布(みるめ)」「俣海松(またみる)」「海松(うみまつ)」とも。[季語] 夏。
みる 【見る】
{*語幹・活用語尾が同じ}
①
見る。目にする。眺める。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「同じをりに亡くなり給(たま)ひし侍従の大納言の御女(むすめ)の手を見つつ」
[訳] 同じ時にお亡くなりになった侍従の大納言(=藤原行成(ふじわらのゆきなり)大納言)のお嬢さまの筆跡をいつも見て。
②
見て思う。見て判断する。理解する。
出典徒然草 一
「めでたしとみる人の、心劣りせらるる本性見えむこそ、口惜しかるべけれ」
[訳] すばらしいと思う人が、予想外に見劣りされる生まれつきの性格を見せたとしたら、それは残念なことに違いない。
③
男女が関係を結ぶ。結婚する。妻にする。
出典枕草子 にくきもの
「わが知る人にてある人の、はやうみし女のこと、ほめ言ひ出(い)でなどするも」
[訳] 自分が現在つきあっている男が、以前関係のあった女性のことを、ほめて口に出したりするのも。
④
世話する。面倒をみる。
出典源氏物語 玉鬘
「かの御かはりにみ奉らむ」
[訳] あの(=夕顔の)御代わりに玉鬘(たまかずら)をお世話し申しましょう。
⑤
であう。経験する。
出典伊勢物語 九
「もの心細く、すずろなる目をみることと思ふに」
[訳] なんとなく心細く、思いがけないひどい事態にあうことよと思っていると。
活用{み/み/みる/みる/みれ/みよ}
〔動詞の連用形や助詞「て」に付いて〕ためしに…する。試みる。
出典竹取物語 火鼠の皮衣
「はや、焼きてみ給(たま)へ」
[訳] さあ早く、ためしに焼いてみなさい。
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