学研全訳古語辞典 |
むず
《接続》活用語の未然形に付く。
①
〔推量〕…だろう。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「かのもとの国より、迎へに人々まうで来(こ)むず」
[訳] あのもとの国(=月の世界)から、迎えに人々がやってまいるだろう。
②
〔意志〕…(し)よう。…(する)つもりだ。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「いづちもいづちも足の向きたらむ方(かた)へ往(い)なむず」
[訳] どこへなりとも、足の向いている方向へ行ってしまおう。
③
〔仮定・婉曲(えんきよく)〕…としたら、その…。…ような。▽主として連体形の用法。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「さる所へまからむずるも、いみじくも侍(はべ)らず」
[訳] そのような所(=月の世界)へまいりますようなことも(今の私には)うれしくもございません。
④
〔適当・当然〕…するのがよい。…すべきである。
出典落窪物語 一
「この御格子(みかうし)は参らでやあらむずる」
[訳] この御格子はお上げしないのがよいでしょうか。◆中世以降は「んず」と表記する。
語の歴史
推量の助動詞「む」+格助詞「と」+サ変動詞「す」からなる「むとす」の変化した語。上代には「むとす」であり、「むず」となるのは中古。中世前期に盛んに用いられた。また、中古では俗語的な悪い言葉とされていた。
むずのページへのリンク |