学研全訳古語辞典 |
る
《接続》四段・ラ変・ナ変の各動詞型活用語の未然形に付く。他の動詞型活用の語には「らる」が付く。
①
〔受身〕…れる。
出典源氏物語 夕顔
「物に襲はるる心地して、驚き給(たま)へれば」
[訳] 物の怪(け)に(夢の中で)おそわれる気持ちがして、はっと目をお覚ましになると。
②
〔尊敬〕…なさる。お…になる。
出典大鏡 頼忠
「かの大納言、いづれの船にか乗らるべき」
[訳] あの大納言は、どの船にお乗りになるのだろうか。
③
〔自発〕自然と…される。…ないではいられない。
出典更級日記 かどで
「見捨てたてまつる悲しくて、人知れずうち泣かれぬ」
[訳] (薬師仏を)あとにお残し申し上げるのが悲しくて、人に知られることなくそっと泣かないではいられなかった。
④
〔可能〕…することができる。…れる。▽中古には下に打消の語を伴って、「…できない」という意を表す。
出典伊勢物語 六二
「涙のこぼるるに、目も見えず、物も言はれず」
[訳] 涙があふれ出て、目も見えず、物も言うこともできない。
出典徒然草 五五
「冬はいかなる所にも住まる」
[訳] 冬はどんな所にでも住むことができる。
語法
(1)尊敬の「る」(「らる」)(2)可能の「る」(「らる」)(3)「る」は、上代の例も見られるが、この時代は「ゆ」が多く、「る」の用例は多くない。(4)自発(③)・可能(④)の意の場合には命令形の用法はない。
参考
「る」の意味を見分ける目安⇒らる
参考
る
助動詞「り」の連体形。
るのページへのリンク |