学研全訳古語辞典 |
のぼ・る 【上る・登る・昇る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
高い所・上の方に行く。のぼる。
出典奥の細道 平泉
「まづ高館(たかだち)にのぼれば、北上川南部より流るる大河なり」
[訳] まず高館にのぼると、北上川が(見えるが)南部地方から流れてくる大河である(ことがわかった)。
②
川の上流へ行く。さかのぼる。
出典土佐日記 二・七
「船ののぼることいとかたし」
[訳] 船がさかのぼるのは、とてもむずかしい。
③
行く。参上する。参内(さんだい)する。
出典更級日記 竹芝寺
「はや帰りておほやけにこのよし奏せよと仰せられければ、言はむ方なくて、のぼりて」
[訳] 早く帰京して朝廷にこのことを奏上しろと仰せになられたので、どうしようもなくて、参内して。
④
上京する。都に行く。
出典更級日記 かどで
「十三になる年、のぼらむとて、九月三日門出して」
[訳] 十三歳になる年に、都に行こうと思って、九月三日に出発して。
⑤
(京の町で)北へ行く。
出典宇治拾遺 七・四
「忠明(ただあき)も太刀を抜きて、御堂(みだう)ざまにのぼるに」
[訳] 忠明も刀を抜いて、御堂の方向に北行すると。
⑥
(官位・階級が)進む。昇進する。
出典源氏物語 桐壺
「帝王の上(かみ)なき位にのぼるべき相(さう)おはします人の」
[訳] 帝(みかど)というそれより上のない位に進むはずの人相がおありになる人で。
⑦
あがる。上陸する。川や海から陸地に移る。
出典源氏物語 明石
「海に入り渚(なぎさ)にのぼり、いたく困(こう)じにたれど」
[訳] 海に入ったり渚に上陸したりして、たいへん苦労したけれど。
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