学研全訳古語辞典 |
よ-に-な・し 【世に無し】
分類連語
①
この世にはいない。
出典源氏物語 若紫
「故按察(あぜち)大納言は、よになくて久しくなり侍(はべ)りぬれば」
[訳] 亡き按察大納言は、この世にいなくなって久しくなっていましたので。
②
この世に例がない。世にまたとない。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「この児(ちご)のかたちけうらなる事よになく」
[訳] この子(=かぐや姫)の容貌(ようぼう)の清らかで美しいことといったら世にまたとなく。
③
世に時めいていない。身分が低い。
出典平家物語 一〇・横笛
「出仕なんどをも心やすうせさせんとすれば、よになき者を思ひそめて」
[訳] 宮仕えなども心やすくさせようとするのに、身分の低い者を好きになって。
なりたち
名詞「よ」+格助詞「に」+形容詞「なし」
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