学研全訳古語辞典 |
あはれ
ああ。あれ。
出典源氏物語 夕顔
「あはれ。いと寒しや」
[訳] ああ。ひどく寒いことだ。
①
しみじみとした趣。しみじみとわき上がってくる気持ち。
出典新古今集 秋上
「心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」
[訳] ⇒こころなき…。
②
寂しさ。悲しさ。
出典源氏物語 橋姫
「木の葉の散りかふ音、水の響きなど、あはれも過ぎて、もの恐ろしく心細き所のさまなり」
[訳] 木の葉が散り乱れる音や、水の流れの響きなど、寂しさも通り越して、何か恐ろしく心細いあたりのようすである。
③
愛情。人情。情け。
出典徒然草 一四二
「子ゆゑにこそ、よろづのあはれは思ひ知らるれ」
[訳] 子(を持つこと)によってこそ、すべての(人の)情けは思いあたって理解できるのだ。
あはれ
分類文芸
「をかし」とともに、平安時代における文学の基本的な美的理念。深いしみじみとした感動・情趣をいう。のち、しだいに日本文学の美の根幹として発展し、調和美・優雅美・静寂美・悲哀美などのさまざまな内容を持つようになった。⇒もののあはれ・をかし
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