学研全訳古語辞典 |
おぼつか-な・し
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
ぼんやりしている。ようすがはっきりしない。ほのかだ。
出典徒然草 一九
「山吹の清げに、藤(ふぢ)のおぼつかなきさましたる」
[訳] 山吹の花がさっぱりとしてきれいに(咲き)、藤の花のぼんやりとはっきりしないようすをしているのとが。
②
気がかりだ。不安だ。
出典枕草子 うらやましげなるもの
「上の女房(にようばう)の、御方々いづこもおぼつかなからず参り通ふ」
[訳] 帝(みかど)付きの女房で、お妃がたのどこへでも気がかりでなく参上して出入りする。
③
不審だ。疑わしい。
出典徒然草 八八
「道風(たうふう)書かんこと、時代やたがひ侍(はべ)らん。おぼつかなくこそ」
[訳] 小野道風が書いたというのは、時代が違っているのではないでしょうか。不審に(思います)。
④
会いたく思っている。待ち遠しい。
出典源氏物語 明石
「夢の中にも見たてまつらで、恋しうおぼつかなき御さまを」
[訳] 夢の中でさえお目にかからず、恋しく会いたく思っているお姿を。
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